【3月13日 AFP】イタリアの首都ローマ(Rome)を訪れた多くの観光客が、そうと知らずにマフィアの金づるにされていた――伊警察当局は12日、同国最大のマフィア組織の資金源だったとして、ローマの歴史地区にあるレストラン2軒を閉鎖した。

 伊捜査当局のマフィア対策班によると、閉鎖されたのは人気観光地のパンテオン(Pantheon)神殿近くにあるレストラン「ラ・ロトンダ(La Rotonda)」と「エル・ファチオラーロ(Er Faciolaro)」。2軒は、欧州全域に広がるコカイン密売網を一手に握る悪名高い犯罪組織「ヌドランゲタ(Ndrangheta)」の構成員サルバトーレ・ラニア( Salvatore Lania)容疑者が経営し、ヌドランゲタの資金洗浄に使われていたという。

 一方、ヌドランゲタが拠点とする南部カラブリア(Calabria)州の財務警察は、南部でも最大規模のショッピングモール「アヌンチアータ(Annunziata)」がヌドランゲタによって建設・運営されていたと発表し、11人の逮捕状を取ったことを明らかにした。

 警察によると、南部の港湾都市ジョイアタウロ(Gioia Tauro)にあるこのショッピングモールを建設した開発業者は、ヌドランゲタ傘下の地元マフィア、ピロマーリ(Piromalli)一家の表看板役を30年近く務めていたという。ショッピングモールに隣接した土地で進んでいた2億1000万ユーロ(約270億円)相当の開発計画も、当局に差し押さえられた。

 イタリア最大の農業生産者団体「コルディレッティ(Coldiretti)」によると、レストランやバーなどイタリア全土で少なくとも5000軒の飲食店が、マフィアの管理下にあるという。(c)AFP/Angus MACKINNON