【3月10日 AFP】太陽光をエネルギー源とする飛行機としては史上初となる世界一周飛行を開始した次世代ソーラー飛行機「ソーラー・インパルス2(Solar Impulse 2Si2)」が9日、最初の目的地であるオマーンに無事着陸した。今回の世界一周では、パイロットが飛行に耐えられるかどうかが試されている。

 Si2はアラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビ(Abu Dhabi)を離陸してから13時間2分後に、オマーンの首都マスカット(Muscat)に着陸した。この400キロの区間はアンドレ・ボルシュベルク(Andre Borschberg)氏が操縦した。その際漆黒の闇の中に見えたのは、滑走路に近づく白と青の光の線だけだった。

 環境に優しいエネルギーの促進を目的としたこの歴史的な旅の第一歩として、ボルシュベルク氏がアブダビのアル・バティーン空港(Al-Bateen Airport)を離陸した直後、ソーラー・インパルスのベルトラン・ピカール(Bertrand Piccard)会長は「冒険は始まった」と述べていた。

 今回の試験飛行について「感極まる」旅と表現したボルシュベルク氏はマスカットで待ち受けた記者団に対し、「短距離」だったため飛行高度は6000メートルだったと明かした。

 ボルシュベルク氏によると、翌10日にインド・アーメダバード(Ahmedabad)に向けて2区間目の操縦を担当することになっているピカール氏は、さらに高い高度を飛行することになるとしている。

 ピカール氏は翌日の具体的な出発時間については明かさなかったものの、「明日はとにかく早い時間に出るのでこれで失礼して少し眠らなくては」と語った。

 国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長もこの試験飛行を歓迎し、両パイロットをたたえている。

 潘事務総長の報道官は、「多国間協力を生かして気候変動に立ち向かい、持続可能な開発の実現に向けて世界にインスピレーションを与えるという彼らの取り組みから刺激を受けている」として、「彼らの勇敢さと強い意志のおかげで、われわれは皆新たな持続可能な未来に向けて飛び立つことができる」と述べた。(c)AFP/Mohammed Mahjoub with Wissam Keyrouz in Abu Dhabi