【3月9日 AFP】国際自転車競技連合(UCI)の幹部は、ツール・ド・フランス(Tour de France)7連覇を果たすも、ドーピング違反により競技からの永久追放処分を受けたランス・アームストロング(Lance Armstrong)氏について、禁止薬物使用に関する数々の兆候があったにもかかわらず、見てみぬふりをしていたという。9日、独立委員会が明かした。

 同委員会は、UCIの会長選で金銭などの受け渡しが行われているとも主張しており、組織の体質を根本的に変える必要があるとしている。

 スイスの国会議員で、元地方検事のディック・マーティー(Dick Marty)氏がかじ取りをする自転車独立改革委員会(CIRC)は、アームストロング氏がドーピング違反を隠蔽(いんぺい)するため、UCIに献金したという疑惑が持ち上がった際に組織された。

 がんを乗り越え、1999年から2005年にかけてツール・ド・フランスを7連覇したことで英雄視されたアームストロング氏だが、2012年にこれらの記録がすべて抹消されると、競技から永久追放された。現在43歳のアームストロング氏は、当時の禁止薬物使用を認めている。

 CIRCは、アームストロング氏がUCIに提供した12万5000ドル(約1500万円)あまりの寄付金と、禁止薬物使用の隠蔽が、直接的に関係する証拠は見つかっていないとしている。しかし、アームストロング氏に捜査の手が及ばないよう、UCIの元会長であるハイン・フェルブルッゲン(Hein Verbruggen)氏とパット・マッケイド(Pat McQuaid)氏が画策したことを示す、動かぬ証拠があるという。

 委員会の報告書は、「多くの証拠から、UCIの幹部がランス・アームストロングを『擁護』し『守った』ことが確認された。そうすることが好都合だったのだろう。彼のドーピング違反を疑うべき状況で起きたことだった」と伝えている。