【2月18日 AFP】停戦発効から3日目を迎えたウクライナ東部は17日、交通の要衝デバルツェボ(Debaltseve)で自動小銃と携行式ロケット弾などで武装した親ロシア派勢力と数千人の政府軍部隊の間で激しい戦闘となった。ウクライナ政府はすでに揺らいでいる停戦が破綻しつつあるとして親露派とロシアを強く非難した。

 政府側と親露派側の双方が、親露派の拠点となっているドネツク(Donetsk)とルガンスク(Lugansk)を結ぶ鉄道の中継地デバルツェボで激しい戦闘が起こっていることを認めている。

 ウクライナ国防省が出した声明によると、「街頭での戦闘が継続中で、重砲に援護された親露派の集団が(デバルツェボの)町を襲撃」しており、「町の一部はその武装集団が掌握した」という。

 同省報道官はAFPに対し、「(政府軍の)複数の部隊が包囲」されており、親露派に捕えられた兵士もいると述べたが、具体的な人数は明らかにしなかった。

 複数のロシア語通信社が親露派側の話として伝えたところによると、親露派はデバルツェボの北と東から進撃し、戦略的に重要な鉄道の駅を制圧した。その際、多数の政府軍兵士が殺害されたり、捕虜にされたりしたという。

 これに対し複数のウクライナ政府当局者は、政府軍の人的損害に関する親露派側の主張は事実ではないとしたものの、16日に補給物資を積んだ車列が親露派に奪われたことは認めた。これに先立ちウクライナ政府は、停戦が発効した15日以降に死亡した兵士は10人で、うち数人はデバルツェボとその周辺で死亡したと発表していた。

 この事態を受けてウクライナ大統領府のバレリー・チャルイ(Valeriy Chaly)副長官は記者会見で、「世界の和平への希望は打ち砕かれつつある」と述べ、「ロシアとDNR (親露派が一方的に独立を宣言したドネツク人民共和国のこと)が停戦合意を守っていない」として、事態は急激に深刻の度を増していると警鐘を鳴らした。(c)AFP/Oleksandr STASHEVSKY and Olga SHYLENKO in Kiev