【2月15日 AFP】10歳のアルチョーム君は、近所に砲撃の音が近づくと遊んでいた公園から地下壕(ごう)に逃げた。ウクライナ東部の親露派支配地に住む他の子どもたちと同じように。

 親露派支配地域の中心都市ドネツク(Donetsk)に住むアルチョーム君は、爆音が鳴り響くたびすぐに祖母のリュドミラ・タラソワさんに腕をつかまれ、アパートのそばにある地下の避難所へと走る。

 政府軍と親露派の戦闘が激化したため、アルチョーム君とリュドミラさんは生き延びるために、10日ほど前からほとんど地下壕に住んでいるような状態を余儀なくされているという。

「たまには新鮮な空気を吸いに外へ出なきゃならないけど、あまり長く遊んでいられないんです」毛糸の帽子から黒く大きな瞳をのぞかせたアルチョーム君は、AFPの記者にそう語った。

 かつて工業都市として繁栄し100万人が暮らしていたドネツクだが、今ここに住む子どもたちの顔は妙に青白く、その目はどこか遠くを見つめている。

 戦闘が10か月も続く中、学校のベルは迫撃砲の着弾音に取って代わられ、静けさと砲声の中で過ぎていく日々の中で子どもたちは恐怖心や退屈と闘っている。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)は、現在ドネツクで約1000人の子どもたちがしばしば地下壕に避難する生活を強いられていると推定している。