現在生きているキタシロサイは5頭とも高齢ないしは自然な繁殖が不可能な状態。人工的な繁殖方法が最後の希望だ。

 最善策は体外受精で「試験管サイ」をつくること。胚は近縁種のミナミシロサイの子宮に移植する。だが過去にチェコの動物園で行われたキタシロサイの人工授精は失敗に終わっており、代理出産の実施例は過去にない。

 精子と卵子を冷凍保存しておくことで、将来的にキタシロサイを復活させることができるかもしれない。だが現状の解決にはならないため、キタシロサイは少なくとも、しばらくの間姿を消すことになる。

 生き残っている5頭のうちの2頭はすでに平均寿命の40歳を過ぎている──この2頭には唯一の雄であるスーダン(Sudan)が含まれている。

「(キタシロサイは)地球上で最も絶滅の危機にひんしている大型動物だ」と、ビーン氏は語る。ビーン氏の背後では、24歳の雌のナジン(Najin)が泥のプールを転がり涼をとっていた。

「たぶん、われわれは種の絶滅を目撃するだろう。それが現実だ。彼ら(キタシロサイ)はここで死ぬんだ」と、ビーン氏は付け加えた。(c)AFP/Tristan MCCONNELL