【1月22日 AFP】冷戦(Cold War)時代から敵対関係を続けてきた米国とキューバが国交正常化を目指す歴史的な交渉が21日、キューバの首都ハバナ(Havana)で始まった。

 2日間の交渉日程の初日を終えた両国の代表者らは、キューバ人の米国への大量流入の問題をめぐる溝は埋められなかったものの、生産的かつ建設的な交渉ができたとの見解を示した。

 今回の国交正常化交渉は、昨年12月にバラク・オバマ(Barack Obama)米大統領とキューバのラウル・カストロ(Raul Castro)国家評議会議長が達した歴史的合意に基づくもの。

 21日には、米国のロバータ・ジェイコブソン(Roberta Jacobson)西半球担当国務次官補がキューバに到着。同国務次官補は1980年以降にキューバを訪問した中では最高位の米高官で、2日目の交渉に参加し、1961年以来となる両国の大使館の再開と大使の交換について協議する予定だ。

 初日の交渉では、米国務省のアレックス・リー(Alex Lee)副次官補とキューバ外務省のホセフィナ・ビダル(Josefina Vidal)米国担当局長がハバナ市内のコンベンション・センターで移民問題についての非公開会談を行った。

 会談後、リー氏は「本日の話し合いは生産的かつ建設的だった。両国間には明確な相違が残るものの、米国とキューバが相互に共有する利益を前進させる機会を見つけることが可能なことを示している」と語った。

 一方のビダル氏は「キューバは広い意味だけでなく、移民問題の分野でも、米国との正常な関係を熱望している」と述べたが、米国の移民政策については頭脳流出を招くものだと批判した。

 多くのキューバ人が粗末な船に乗り、キューバから海を挟んで145キロ離れた米フロリダ(Florida)を目指すという問題に両国の政府は長年、頭を悩ませてきた。米国は、自国の領土に足を踏み入れたキューバ人にはすぐに永住権を与えるが、海上で拘束した場合は本国へ送還する措置を取っている。

 国交正常化交渉でこの方針が変わるとの懸念の下、米国入りを目指すキューバ人の数は最近増加しており、昨年12月に海上で拘束された人の数は、前年比2倍に増えている。(c)AFP/ Laurent THOMET