【1月14日 AFP】フランス・パリ(Paris)とその周辺で前週発生した一連のテロ事件を受けて、マニュエル・バルス(Manuel Valls)首相は13日、臨時招集された議会で演説し、「テロに対する戦争」を宣言した。

 計17人が犠牲となったこの事件後、同国に広がった団結の輪は議会にも波及。議場を埋め尽くした議員らは声をそろえて国歌を熱唱した。議会でこのような光景が見られたのは、第1次世界大戦(World War I)終結以来初めてとされる。

 死亡した実行犯3人は、フランス国内の複数の情報機関がその名前を把握しており、米国ではもう「何年も」テロ攻撃の要注意人物リストに名を連ねていたとされる。それなのになぜ3人が当局の網の目をくぐり抜けて犯行に至ったのか問う声が上がっている。

 今回の襲撃犯らへの対応面で「明らかな不手際」があったと先に認めていたバルス首相はこの日の演説の中で、国家の情報収集能力と対テロに関連する法令の強化を要請。議員らは数回にわたり立ち上がって拍手してこれに応えた。

 またバルス氏は、「フランスは、テロリズム、聖戦主義、過激主義に対する戦争に乗り出している。イスラム教やイスラム教徒に対する戦争ではない」と断言した上で、「私はわが国に暮らすユダヤ教徒におびえてほしくない。またイスラム教徒であることを恥だと思ってほしくない」と語った。

 さらに同首相は治安警備の脆弱(ぜいじゃく)さへの対応措置として、刑務所の受刑者に過激思想が広がることを防ぐため過激派の受刑者らを今年中に隔離すると発表。また欧州内の旅行者らに関する情報共有システムを9月までに改良する方針も明らかにした。(c)AFP/Fran BLANDY