【12月3日 AFP】世界の他の地域よりも速いペースで気温上昇が進んでいるアルプス(Alps)地方では、気候変動に適応するために関係諸国が協力しており、モデルケースとなることが期待されている。

 最近発表されたオーストリアの気候変動報告書によれば、同国の気温は1880年以来、世界平均の2倍の速さで上昇しており、またアルプスの日照時間は20%増加している。

 観光客や地元住民は長い夏を満喫できると喜ぶかもしれないが、土砂崩れや森林火災が発生しやすくなり、農業や地域経済に打撃を与える可能性が高まると報告書は指摘している。

 オーストリア環境省のゲオルク・リーベルニッヒ(Georg Rebernig)氏は、12日までペルーの首都リマ(Lima)で開催中の国連気候変動枠組み条約第20回締約国会議(COP20)を前にAFPに語った。「比較的狭い渓谷があったとして、そこに道路や鉄道があり、送電線や住宅まであったとする。ここで土砂崩れが起これば壊滅的だ。それを防ぐことが、アルプスでの戦略を語るときに我々がやろうとしていることだ」

 オーストリア環境省をはじめ、イタリアやスイス、ドイツ、フランスなどアルプス諸国の関係省庁や研究機関は、気候変動対策に取り組む「C3アルプス(C3-Alps)」プロジェクトで協力している。

 国連は11月に公表した報告書でこのままいけば、地球の平均気温は2100年までに産業革命以前との比較で4度以上上昇し、深刻な干ばつや洪水、海面上昇、種の絶滅に見舞われかねないと警告した。