【11月12日 AFP】インド洋(Indian Ocean)の島嶼(しょ)国セーシェルのジェームズ・ミシェル(James Michel)大統領は11日、世界の島しょ国は自国水没の危機を避けるため、一致団結してかつてない規模での気候変動対策キャンペーンを実施する必要があると呼び掛けた。

 この呼び掛けは、島国や低海抜の沿岸国で構成する小島しょ国連合(Alliance of Small Island StatesAOSIS)による2日間の首脳会議(サミット)の冒頭で発せられた。今回のサミットは、今年12月にペルーの首都リマ(Lima)で開かれる気候変動の国際会議への準備会合として開催された。

 ミシェル大統領は、「世界はあまりにも、われわれをないがしろにすることが多すぎる。われわれはあまりにも、傍観者として扱われることが多すぎる」と語気を強め、「気候変動が避けられないものとして扱われることを、われわれは容認できない。海面上昇で島が失われることを、われわれは容認できない。自国の島々が上昇する海に没してしまうことを、われわれは容認できない」と続けた。

 海抜がわずか1メートルほどの国もある低海抜の島国は、人為的な気候変動が原因とされる海面上昇の影響を最も受けやすい対象の一つとみなされている。

 太平洋の島しょ国であるキリバスなどの一部の国は、気候変動によって国外脱出を余儀なくされる場合に国民にどのような選択肢を用意するかの検討をすでに始めている。

 ミシェル大統領は「気候変動は、われわれが直面している最大の脅威」と指摘しつつ、AOSISについては一見して無力であるように思われると述べた。ただ、経済面および技術面で気候変動に対抗する術はないが、気候変動の会議では「良心」としての存在であり、世界中すべての市民の道徳的権利を守る役目を担う存在であるとした。

 国連(UN)の「気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate ChangeIPCC)」の専門家らが提示する温室効果ガス排出シナリオ4例のうち、最も低排出のものでは、世界平均気温は今世紀末までに0.3~1.7度上昇、それによって26~55センチの海面上昇が起きる可能性が高いとされている。

 最も高排出のシナリオでは、気温上昇は2.6~4.8度で、それによって起きる海面上昇は45~82センチとされている。(c)AFP/Rassin VANNIER