■「氏か育ちか」の議論には…

 今回の調査結果は「氏か育ちか」議論に何らかの手掛かりをもたらしているが、知的な論戦は今後も続けられることになりそうだ。

 チーホネン氏は「われわれは、攻撃的な行動に最も大きな影響を及ぼしている2つの遺伝子を発見したが、それよりも小さな影響を及ぼしている遺伝子が他に数十もしくは数百個存在する可能性は高いと思う」と話す。

 また今回の結果は、「刑事責任能力」の概念に影響を与えるものではないと同氏は続けた。

「司法精神医学の基本原則によれば、遺伝子型や交通事故の脳損傷などのいかなるリスク要因も、それ自体が有罪判決や実刑判決に対して影響を及ぼしてはならないとされている」

「問題となるのは、自分の行いの性質とそれがもたらす結果を理解する知的能力と、自分の行動を制御する能力だけだ」

 今回の研究結果についてチーホネン氏は、「その精度と特殊性は、犯罪防止措置の一つとして人々のスクリーニング(ふるい分け)検査を可能にするほどのレベルには達していない」と指摘している。(c)AFP/Mariette LE ROUX