【10月6日 AFP】人間の身長を決める遺伝子変異を700個近く特定したとの研究論文が、5日の米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(Nature Genetics)で発表された。研究結果は、身長に関連する疾患治療への一助となる可能性があるという。

 英エクセター大学(University of Exeter)などの国際研究チームは、身長に差異が生じる理由を説明する可能性のある遺伝子変異についての研究を行い、25万人以上のDNAを比較した結果、遺伝情報の424の領域に位置する単一の変異を697個発見した。

 研究チームによると、これは身長の決定に関与すると考えられている遺伝子変異全体の約20%に相当するという。これまでの研究で特定されていたのは、全体の12.5%だった。残りの変異はまだ発見されていない。

 エクセター大のティム・フレイリング(Tim Frayling)教授は「身長に影響される場合がある疾患の治療において実質的な影響を及ぼす可能性がある。科学的好奇心を満たすものだ」と話す。

 これらの疾患には、骨粗しょう症、がん、心臓病などが含まれるという。

「またこの成果は、自分たちの子どもが思うように発育していないことを心配している両親の安心につながる遺伝子検査の開発に向けた前進でもある──これら子どもの大半は、単に多くの『低身長遺伝子』を受け継いだだけなのだ」

 研究チームによると、身長を決める要因の8割以上は遺伝形質で、残りの2割未満は栄養や他の「環境的」影響によるものということがこれまでの研究で明らかになっているという。

 また従来の研究では、高身長と乳がんおよび前立腺がんのリスク増加、そして高身長と心疾患のリスク減少との間に科学的関連性があることも判明している。

 一方で、身長が低いほど寿命が長くなる傾向についてもデータで示されているが、この理由は明らかになっていない。(c)AFP