【10月7日 AFP】ラップ歌手が白衣をまとい、エボラ出血熱の感染予防策をヒップホップのリズムに乗せて歌う――こんな啓発活動が西アフリカから広がっている。漫画家たちも殺人ウイルスとの闘いに立ち上がり、各国当局が悪戦苦闘する公衆衛生メッセージの拡散に大きく貢献している。

「エボラ出血熱の流行に国境はない」。セネガルのラッパー、Xumanが歌う「エボラ・エ・ラ(エボラはここにいる)」は、歌手リアーナ(Rihanna)のヒット曲「アンブレラ(Umbrella)」の替え歌だ。セネガルで8月に初の感染者が確認されたことを受けて作られた。

「この感染症は、俺たちの隣人の間に広がっている。リベリアでもギニアでも」――医師の格好をしたXumanが警鐘を鳴らすミュージックビデオは、動画共有サイトのユーチューブ(YouTube)で2万回以上再生された。「遠い国の話だと思っていた。心配する必要はないと思っていた。だけど、国境が封鎖されてもやつは侵入してきたんだ…」

 韻(いん)を踏んでリズム良く奏でられるミュージックビデオの多くには、写真や動画、アニメーション、役者の演技などが添えられ、エボラ出血熱の恐ろしさをまざまざと描写する。発熱から始まり、嘔吐、咳、下痢へと症状は進行し、最悪の場合は内臓や口・目・耳からの出血が止まらなくなって死に至る。

 今年初めから大流行し始めたエボラ出血熱による死者は、ギニア、リベリア、シエラレオネを中心に3000人を超えた。

 歌詞は予防策についても詳しく助言する。患者や死者の体液に触れると感染すると警告するのだ。「恐れることはない。ただ気を付ければいい。予防するほうがましだし、賢いし、安上がり」と、ナイジェリアのラッパー、ジョン・アルー(John Allu)は歌う。

 リベリアのラッパー「シャドー」ことサミュエル・モーガン(Samuel "Shadow" Morgan)は、野生動物の肉(ブッシュミート)を食べるリスクを訴える。「サルが好きでも、その肉は食べるな。ヒヒが好きでも、その肉は食べるな。コウモリが好きでも、その肉は食べるな」。アフリカで一般的にご馳走とされるブッシュミートだが、専門家によってエボラウイルスを媒介している可能性が指摘されているからだ。