■風刺漫画で伝える「現実」

 一方、コートジボワールの隔週誌「コディボワリアン(Le Codivoirien)」は最近、表紙の風刺漫画のテーマにエボラ出血熱を取り上げた。患者に直接触りたくない医師がパチンコで座薬を投与しようとしているシーンを描いたものだ。

 エボラ出血熱を封じ込めるカギは、人々に「流行は現実に起きている」と認識させることだ。アフリカでは、エボラ出血熱は黒人を滅ぼすために白人が持ち込んだものだとか、国内外の医療関係者が故意に流行させているのだとかいった陰謀論がささやかれ、医療スタッフやジャーナリストが殺害される事件も起きている。

 1976年に世界で初めてエボラウイルスが発見され、過去に7回も流行に見舞われているコンゴ民主共和国(旧ザイール)でさえ、感染者の隔離政策に対する恐怖心と抵抗が存在する。そこで、地元の漫画家Kashは、エボラ出血熱を「最大の公共の敵」として描いた漫画を発表した。道の真ん中にガスマスクをかぶり武装した男が1人立ち、「見つけ次第撃て!」と主張している。

 コンゴでは、今回の流行で8月以降42人が死亡した。だが、流行の発端となったギニアで2月にフェスティバルを取材したコンゴ人ジャーナリストたちは、エボラ熱の脅威を軽視していたとKashは言う。「ジャーナリストが信じていないのに、田舎の村人たちが信じるわけがないと思ったよ」

 だからこそ、Kashはコンゴでもエボラ熱が流行し始めたとき、ペンを手に取り漫画を描いたのだ。「それで人々の関心を高め、当局を動かすことができるのなら、やる価値はある」とKashは話した。 (c)AFP/Habibou BANGRE