<菅付雅信:新連載「ライフスタイル・フォー・セール」>第十二回:ライフスタイル先進都市、ポートランドの魅力と問題
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■ポートランド的なものが持つ、グローバルな普遍性
「ポートランドに住む人びとは他の地域の人が気にかけないようなシンプルなものの真価を認めている。私たちも日頃編集作業をしながら、ポートランドが持つ自然の偉大さに感銘を受け、時には裸足で柔らかい芝生に触れる。そういった意識に常に立ち返るようにしているの」
そう語ってくれたのは、雜誌『キンフォーク』副編集長のケイティ・ウィリアムス(Katie Williams)だ。ポートランドにベースを置き、オーガニックな食事や、自然を意識した生活、アウトドアでのアクティビティなどを発信し続けてきたこの雑誌は、まさにポートランド的なカルチャーの象徴と言える。ポートランドの編集部を訪れると、広々としたロフトのようなスペースで、ソファーやキッチン等があり、まるで大きな自宅のような居心地の良さ。日本版に続き、韓国版、中国版、ロシア版も発行され、日本でもアクタスと組んだファッション・ブランド「アウアー・バイ・キンフォーク(Ouur by KINFOLK)」をスタート。その編集方針のスケールはローカルを遥かに超えたものがある。
「私たちは『キンフォーク』の普遍性をアピールし、読者がどこに住んでいても関係ないような、世界中で通用する製品・コンテンツをメディアに取り入れるように努めています。ただ、仮に私たちが意図的に“ポートランド的美意識”を誌面上から取り払おうとしても、ポートランドにいれば自然と“良い食事”をとり“アウトドア”に動き“意識的な生活”を送るようになります。この土地の自然な流れが雑誌全体に影響を与えていると思うんです。
この雑誌は、丁寧に暮らすことの大切さを気付かせるきっかけのようなもの。世界規模のスケールをキープすれば、このトレンドはそのまま恒常的ストレスや近代的生活から解放された未来へとつながり、人びとが人生における優先事項を再確認し始めるきっかけになるんじゃないかと信じてます」
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