【7月2日 AFP】ニューヨーク・マンハッタン(Manhattan)の連邦地裁判事は1日、女性たちを誘拐・殺害して遺体を食べる計画を立てたとして起訴された米ニューヨーク(New York)市警の元警官の裁判で、陪審団の有罪評決を覆して無罪を言い渡した。被告は逮捕から1年9か月ぶりに拘束を解かれた。

「人食い警官」と呼ばれるジルベルト・バーレ(Gilberto Valle)被告(30)は、「デス・ポルノ」と呼ばれるフェティッシュを持つ人々のために作られたウェブサイトを頻繁に閲覧。さらに、多数の女性を誘拐して拷問し、殺害した上でその遺体を食べる詳細な計画を書き記していた。

 被告が作成した標的のリストには、女友達の他、自身との間に子どもをもうけていた妻も含まれていた。この妻が米連邦捜査局(FBI)に通報したことがきっかけで、2012年10月に被告は逮捕された。

 裁判で人食に引きつけられる人々のおぞましい世界が明らかとなり、ニューヨークを震撼(しんかん)させるとともに世界各国の新聞紙面を賑わせた。

 バーレ被告は、女性の誘拐を計画した罪と、誘拐する女性たちのリストを作るために警察のデータベースに違法にアクセスした罪で2013年3月に有罪評決を受けた。

 終身刑になる可能性もあったが、連邦地裁の判事は1日、バーレ被告の「常軌を逸し堕落した」空想がいかに気分を乱すものであったとしても実際には誘拐に及んでいなかったと指摘し、被告が残したチャットや電子メールなどだけでは誘拐を計画した十分な証拠にはならないとして、この訴因では被告に無罪を言い渡した。検察側はこれを不服として控訴する意向を示した。

 一方で判事は警察のデータベースの違法アクセスでは陪審団の評決通り有罪とした。この罪の最高刑は禁錮1年。

 判事は保釈金10万ドル(約1000万円)で被告の保釈を認めるとともに、控訴審が行われるまで電子監視バンドを装着してニューヨーク・クイーンズ(Queens)区にある母親の自宅で過ごし、精神衛生検査を受けるよう命じた。被告はこの他にインターネットの使用禁止とニューヨークの外に出ないことも命じられた。(c)AFP/Brigitte DUSSEAU