■ブラジル、先制点許すもネイマールが同点弾

 サンパウロ(Sao Paulo)市内で起こった抗議デモは、ドラマの舞台がサッカーのピッチへ移ると、すぐさま話題の外へ追いやられた。

 W杯優勝5度のブラジルは、母国開催のW杯決勝でウルグアイに敗れ、屈辱を味わった1950年大会から数十年も続く痛みを癒やすべく、圧倒的な優勝候補として初戦に臨んだが、アレーナ・デ・サンパウロ(Arena de Sao Paulo)でひやりとする立ち上がりを迎えた。

 一方のクロアチアは、2006年ドイツ大会(2006 World Cup)のグループリーグでも、豪華メンバーのブラジルに対して接戦を演じて敗れており、この試合でもいったんは筋書きを台無しにしかけた。

 新しいスタジアムで、観衆がブラジル国歌を大合唱してから試合は始まったが、ここまで9連勝中だったブラジルは硬さが見え、なかなかリズムをつかむことができなかった。

 すると、序盤から相手に圧力をかけていたFIFAランキング18位のクロアチアは、前半11分、左サイドのスペースでボールを持ったイビカ・オリッチ(Ivica Olic)がペナルティーエリアへ絶妙な折り返しを入れると、ニキツァ・イェラビッチ(Nikica Jelavic)が手前で触ったこともあってマルセロはこのボールにうまく反応できず、ボールを自軍のゴールへ流し込んでしまった。

 それでも、観衆の後押しを受けるブラジルは、動じずにオスカルがエリア外からの左足のシュートでゴールに迫ると、前半29分、母国で世界的なスーパースターとしての地位を固めるのではと言われているネイマールがエリア外から同点ゴールを決め、スタジアムを沸かせた。

 10番を背負うネイマールが、オスカルとのパス交換からボールを前に運び、左足でシュートを打つと、ボールはGKスティペ・プレティコサ(Stipe Pletikosa)の伸ばした手の先を抜け、ポストの内側に当たってゴールに入った。

 ブラジルはそこから前半終了までボールを圧倒的に支配したが、絶好機はさほど多く作り出すことができず、追加点を決めることはできなかった。