【5月20日 AFP】サッカー元ブラジル代表のペレ(Pele)氏は19日、同国で発生している抗議デモを恐れ、W杯ブラジル大会(2014 World Cup)の観戦を予定していた国外のファンが、渡航を中止するのではないかという懸念を示した。

 メキシコの首都メキシコ市(Mexico City)の郊外で記者会見に臨んだペレ氏は、ここ数週間で再出したデモ活動が続くようであれば、大会に支障を来すことは必至だと語った。

 W杯の名誉大使を務める73歳のペレ氏は、「ブラジルへの渡航を予定していた外国人の25パーセントが、抗議活動に不安を感じていることがすでに分かっており、彼らは旅程を中止したはずだ」と話している。

 1970年にメキシコで3度目のW杯優勝を経験したペレ氏は、「これは国にとって大きな損失だ」と落胆を口にした。

 昨年、デモを止めてサッカーに集中するよう呼びかけたことで、国内からの厳しい批判にさらされたペレ氏だが、学校や病院の不足といった抗議者の不満には共感すると話した。

 それでも「王様」ことペレ氏は、ブラジル代表が「汚職と政治」の代償を支払う必要はないはずだと主張する。

 カンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル全国選手権)1部のサントスFC(Santos FC)に名を残したペレ氏は、「汚職まみれの政治家や泥棒たちに対して、われわれができることはない。われわれの責任ではない」と突き放し、「スタジアム建設のために盗みを働いた泥棒」と選手が一緒くたにされるべきではないと語気を荒げた。(c)AFP