■「伝統の村」と過疎地の狭間で

 中国の諸民族について英オックスフォード大学(Oxford University)で研究するレザ・ハスマス(Reza Hasmath)氏は「教育を受けた近代的な人々とみなされるようにならなければ、少数民族が本気で収入を得ることはできない」という。「中国はまだ『少数民族の人々を知ろう』という段階を越えて、『少数民族を融合しよう』という方向に動いていない。(しかし)少数民族が非常に秀でた人々でありうること、勤勉で腕が立ち、雇用すべき人々だということを示す段階に来ている」

 民族間の信頼度を測る指標としてハスマス氏が挙げた中国政府の推計によれば、異民族間で結婚している少数民族出身者はわずか1%にとどまっている。チベット人やウイグル人との緊張は特に高まっており、中国政府に批判的な人々がいう「文化的抑圧」への反発として、しばしば自爆攻撃やナイフによる襲撃事件が発生している。

 祭りを観光客に見せるための広場を数年前に作った舟渓地区の住民たちは、観光客の流入が異なる民族間の関係を改善させていると話す。舟渓の中心部へと続く道沿いの壁には、貴州省の伝統芸能である太鼓演奏や闘牛の絵が漫画風に描かれている。

 舟渓で生まれたミャオ族のダンサー、セン・ミングーさん(21)は「他の地域で暮らす中国の友人たちに、私たちの文化を知ってもらうのは良いことだ」という。「私たちの経済は発展してきているし、知名度も少しだけ上がっている」

 一方、同じく舟渓の住民であるワン・ゼジュン(46)さんは、近くの西江(Xijiang)村のように経済的混乱に陥るのではないかと心配している。西江では5年前、車の往来もまれだったのに物価が急騰した。地元で見つかるのは掃除の仕事だけとなり、多くの人が職を求めて貴州省を出て行ったため、現在は観光客向けイベントの出演者を外部から雇っているような状況だ。

 西江には「見るべきものなど何もない。食べ物は高く、しかもまがい物ばかりだ。良いところなど一つもない」。隣村についてそう語るワンさんの18歳と20歳の子どもたちも、940キロも離れた場所で暮らしている。(c)AFP/Carol HUANG