【4月30日 AFP】サラ・ブルーム・ラスキン(Sarah Bloom Raskin)米財務副長官は29日、国内で教育ローンを滞納する人が増えていることに警鐘を鳴らした。

 ラスキン氏は先月、米連邦準備制度理事会(Federal Reserve BoardFRB)理事から米財務省で2番目に地位が高い財務副長官に就任したばかり。

 米メリーランド大学(University of Maryland)で講演したラスキン氏は、これまでに少なくとも4000万人が教育ローンを利用しており、卒業時点の平均負債額は3万ドル(約300万円)で、返済に10年以上かかると指摘した。

 ラスキン氏は、近年、他の種類のローンでは滞納する人の割合は減っているが、教育ローンの返済不履行率は増えており、これまでに教育ローンを滞納したのは約700万人に上ると説明した。

 米教育ローンの残高は2013年末の時点で1兆1000億ドル(約113兆円)に上っており、米国のクレジットカードによる負債の総額をはるかに上回っている。負債を抱えた状態で卒業する学生の割合は増え続けており、1993年には30%、2012年には60%だった。

 ラスキン氏は「これらは恐ろしい数字だ」とした上で、米国の経済成長に悪影響を及ぼす恐れもあると強調。教育ローンで滞納をすると後に住宅や車を購入する際にローンを組みにくくなる他、求職者の債務状況を調べる企業も多いため、就職活動に支障が出る恐れもあると指摘した。

 米国の教育ローンの主な資金源は連邦政府だが、実際の貸し出しは民間金融機関などが担っている。ラスキン氏はこうした貸し手に対し、返済計画の変更を現在よりも容易にできるようにするよう呼び掛けた。(c)AFP