【4月7日 AFP】パキスタンで、生後9か月の男の子が殺人未遂容疑で逮捕・訴追された。背景にパキスタン特有の法律上の欠陥があるという。

 担当弁護士がAFPに4日、明かしたところによると、モハマド・ムーサ(Mohammad Musa)ちゃんは家族とともに、2月1日に労働者階級が多く住むアハタ・タネダラン(Ahata Thanedaran)地区でガス会社の社員に石を投げつけたとして逮捕された。犯行現場に居合わせたとされる警察官の調書によれば、容疑は殺人未遂だという。

 ムーサちゃんは3日、祖父ムハンマド・ヤシン(Muhammad Yasin)さん(50)に肩車をされ、泣きながら出廷した。取材に応じたヤシンさんは、ムーサちゃんに哺乳瓶でミルクを飲ませながら「法廷では、誰もが口々に『あんな小さな子がどうやって事件に関与できるというんだ』と言っていた。この国の警察はいったいどうなっているんだ」と怒りをあらわにした。

 パキスタンでは2013年に刑事責任を科し得る最低年齢が、テロ容疑を除き7歳から12歳に引き上げられたが、ムーサちゃんの訴追はこの年齢規定に矛盾している。

 ヤシンさんは、一家にかけられた容疑は警察のでっち上げだと批判した。警察が、ヤシンさんたちを彼らの土地から追い出したいと考えている人々と結託し、ガス供給を止める命令を出したのだという。「警察とガス会社の社員たちは、何の事前連絡もなくやってきて、家々からガスメーターを取り外し始めた。住民が抗議を始め、道路を封鎖したが、警察の高官がやってきて不正は一切行われないと約束したため、住民たちは引き下がった。ところが、後になって私たちが訴追されたことが分かった」とヤシンさんは説明した。

 ラファカット・アリ・カマル(Rafaqat Ali Qamar)判事は、現場に居合わせ調書を書いた警察官を停職処分とし、ムーサちゃんについては保釈命令を出した。ただ、ムーサちゃんはまだ4月12日の次回審理に出廷しなければならない。

 一家の弁護士は、裁判所はムーサちゃんに対する訴追を取り下げるべきだと主張している。