■信者に手をさしのべる法王

 だが果たしてそうだろうか。バチカンの壁の内側では、フランシスコ法王の世界的な人気は、必ずしも肯定的な兆候として称賛されているわけではない。伝統を重んじる人々は、これまで教会が日常的な交流を放棄してきた信仰者にも、フランシスコ法王が手をさしのべようとしていることに、疑念を抱いている。

 これには、教会がこれまで厄介事としてきた同性愛と離婚者への対応について、法王がより思いやりと理解のある発言をしていることが含まれている。フランシスコ法王は法王就任直後、記者団にこのように語って物議をかもした。「もしも、ある人が同性愛者で、善良な心をもって神を求めた場合、私は(その是非を)判断する立場にはない」

 タイム誌の今年の人に選ばれた理由として最も大きかったのはこの発言だった。だが、バチカンの関係者筋は、この問題についてであれ、他の問題であれ、フランシスコ法王が既に確立されたキリスト教の教義を捨てるつもりだと考えるのは誤りだと述べる。

 代わりにフランシスコ法王は、たとえば避妊の問題など、教会の公式教義と、信者が実践する信仰との間に開いた多くの溝を乗り越えることを模索するというアプローチを取っているのだという。フランシスコ法王が年内に開く家族をめぐる教会会議ではこのことが議題の焦点になる予定で、一部の観測筋はこの会議がフランシスコ法王の方針を定義づける可能性もあるとしている。

 離婚の問題については、枢機卿の間でも見解が割れている。結婚が永遠の秘跡であることには意見が割れていないが、一方で、結婚が失敗に終わった人々を教会から排除するべきではないことに気づいている枢機卿も多い。

 フランシスコ法王自身も先月末に「愛はしばしば失敗に終わるが、そのとき私たち(教会)はこの失敗の痛みを感じ、その痛みを知るようになった者たちに寄り添わなければならない。決して糾弾してはならない」と語っていた。