【3月12日 AFP】いわゆる「生まれか、育ちか」論争で取り上げられることの多い「音楽的な才能」。まったく同じ環境で暮らしている2人のうち、一人はピアノの名人に、もう一人は音楽的才能が皆無などということが起こり得るのはなぜか。この答えは遺伝子にあるのか、それとも育て方にあるのか──。

 数百人を対象に比較調査した結果、この疑問への答えに到達するための第一歩は「DNA」、すなわち音を聞き取る能力に関係するいくつかの遺伝子にあるとする研究論文が11日、英科学誌ネイチャー(Nature)系オンライン医学誌「モレキュラー・サイキアトリー(Molecular Psychiatry)」に掲載された。

 研究チームは、7歳~94歳までの76家族767人から血液サンプルを採取し、その血液サンプルから抽出した遺伝情報を解析して被験者間で比較分析を行い、被験者のDNAに存在する変異を調べた。血液サンプルには、プロの演奏家を多く輩出している音楽性の強い家系のものも含まれた。

 被験者はまた、音楽に関する3種類のテストを受けた。テストでは、音調と長さがわずかに異なる音の区別や「連続した音」の微妙なバリエーションの識別などが問われた。

 このテストで好成績を収めた人たちの中で大きく際立っていた点は、第4染色体にあるいくつかの遺伝子に些細だが有意な相違があることだった。この発見は、人がどのように音を聞いて認識するかを決定付ける一助となる。