フィッチ氏によると、陸上競技の強みで「ジャマイカは国民1人当たりで言えば、夏季五輪で最もメダルを獲得」しており、その勢いが冬季大会での良い原動力になっているという。

「ボブスレーはジャマイカ人の才能、スピードを最大限に生かせるスポーツだった。レースの前半は、選手が乗り込む前に重さ約272キロのそりをいかに速く押すかにかかっている。そのスピードが、ジャマイカなんだ」

 カルガリー五輪では、元ヘリコプターパイロットで、腕力のあるダドリー・ストーク(Dudley Stokes)氏がパイロットを務め、2人乗りでデビューを果たした。その後、ギリギリまで地元のバーで資金をかき集めて、4人乗り用のそりを2万5000ドル(約250万円)でカナダチームから購入した。

「ジャマイカが出場できることを世界に知らしめたかった」と思い起こすフィッチ氏の周囲には、カルガリー大会の開会式で、同氏がカウボーイ帽をかぶり、黄色いジャケットを着たジャマイカチームと一緒に写っている1枚の写真をはじめ、多くの記念写真が飾られている。

「だが、われわれは本気だった」

「しっかりと戦いたかったし、最下位にはなりたくなかった」