■「ダライ・ラマ効果」とは?

 専門家によると、中国の脅しと報復を招く「レッドライン」は特定の問題に限られているという。チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)に関連するもの、中国の指導者や過去の人権侵害への批判、東シナ海と南シナ海での領有権問題、中国が自国の一部とみなしている台湾、新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)での騒乱などが挙げられる。

 中国が一方的に発動する制裁措置を研究している豪シドニー大学(University of Sydney)のジェームズ・レイリー(James Reilly)教授(北東アジア政治)は、中国はダライ・ラマの訪問など極めて狭い範囲の問題に集中している点でとてもユニークだと指摘する。

 2010年にはドイツの研究者たちが、ある国の指導者がダライ・ラマと面会するとその国の対中輸出はその後の2年間に平均で12.5%減少することを発見し、この現象を「ダライ・ラマ効果」と名付けた。