【1月11日 AFP】米テキサス(Texas)州で、万が一の場合に延命措置を望まなかった女性が妊娠したまま脳死状態に陥っており、女性の意思と家族らの要望通り生命維持装置の停止を求める署名を中絶賛成派の団体などが始めた。

 同州在住のマリース・ムニョス(Marlise Munoz)さん(33)は昨年11月26日、自宅で1歳3か月の息子の世話をしようと起床した際におそらく肺塞栓症を起こして倒れ、脳死を宣告されたが、生命維持装置によって1か月以上生かされている。

 ムニョスさんは以前から、身の上に万が一何かが起こった際に、機械で生かされ続けるのは嫌だと夫や両親に言っていた。しかしテキサス州の法律では、胎児の成長段階にかかわらず、妊娠している女性の生命を維持するよう厳しく定めている。テキサス州と同様の法律を定めている州は、全米で12州ある。

 中絶に賛成する全米団体、妊娠中絶権擁護全国連盟(NARAL Pro-Choice America)はテキサス州司法長官に宛て、ムニョスさんの「意思とプライバシーを尊重し」生命維持装置の取り外しを求める署名を開始した。

 ムニョスさんの例は、米国で賛否両論が分かれている中絶、安楽死、法の解釈といった問題をはらんでおり複雑だ。

 一方、夫のエリックさんは、米ABCテレビ系列のテレビ局WFAA-TVの取材に対し、ムニョスさんが倒れて発見されるまでどの位の時間、胎児に酸素が届かなかったのか分からないとし、胎児の状態が心配だと語った。胎児は、母親の子宮外でも生存可能になるとされる妊娠23週目にまだ達していない。(c)AFP