【1月8日 AFP】ベルギーで「最高齢アスリート」として親しまれてきたエミール・パウウェルス(Emiel Pauwels)さん(95)が安楽死を選択し、家族や友人約100人とシャンパンで乾杯をした後に旅立った。

 7日のベルギーのメディアは、前日の6日に自宅で家族や友人、スポーツクラブの仲間たちに囲まれ、微笑みながら乾杯しているパウウェルスさんの姿を伝えた。

 フラマン語の現地日刊紙ヘット・ラーツテ・ニウス(Het Laatste Nieuws)によると、パウウェルスさんは6日、「後悔はしていないし、死への恐怖感はまったくない」と語った。「わたしの人生の中で最高のパーティーだ。友人全員に囲まれて、シャンパンと共に逝くのが嫌だなんて人がいるかい?」「注射薬を持って医師が来たとき、わたしは満たされた人生を送ったと思いながら、この世を去るんだ」

 パウウェルスさんは末期の胃がんのため、この数か月間は寝たきりになっていた。昨年3月に行われた高齢者欧州選手権の屋内60メートル走で優勝したのが、アスリートとして残した最後の大きな成績だった。

 ベルギーでは2002年に安楽死が合法化され、12年には1432件が報告された。現在は安楽死の対象を、12歳を超える子供にも拡大することが検討されている。(c)AFP