【1月7日 AFP】大波にのまれ台湾沖を60時間も漂流していた金づちの男性が、奇跡的に無事救助された。地元メディアが6日、伝えた。

 3日朝、台湾北東部・花蓮(Hualien)の海辺でウナギの稚魚を捕っていた曽連発(Tseng Lien-fa)さん(42)は突然、大波に襲われた。「最初にやってきた波は胸の高さまであったが、何とかもちこたえた。だが次に、もっと大きな波が襲ってきてのまれてしまった」と、曽さんは台湾紙・聯合報(United Daily News)に語った。

 報道によると、曽さんは、たまたま波間に浮いていたひつぎのふたにしがみつき、5日朝に浜辺に到達するまで台湾の東沿岸沖を漂流していた。曽さんは、「ふたに乗って、どんどん流されていった。その間じゅう、船が通りかかって助けてくれるのではと願っていた」という。

 なぜ、ひつぎのふたが海に浮いていたのかは不明だ。

 強い波に押し流された曽さんは、最初に波にさらわれた花蓮の海辺から75キロも離れた南東部の台東(Taitung)県に到達。浜辺に打ち上げられ横たわっていたところを5日正午ごろ、曽さんを捜索していた沿岸警備隊に発見された。

 花蓮病院の医師らは、曽さんは軽い脱水症状を起こしているほか、長時間海水につかっていたために腕の皮膚に損傷がみられると説明したうえで、「漂流していた約60時間、飲まず食わずでいながらも、意識もはっきりしている。これは奇跡としか言いようがない」と語った。

 曽さんは、婚約者が来月、出産するため、さらに金銭を稼ごうとウナギを捕獲していたが、今後はウナギ漁は、もう止めると婚約者に約束したという。(c)AFP