【2月3日 AFP】東京大学(University of Tokyo)大気海洋研究所(Atmosphere and Ocean Research)と独立行政法人水産総合研究センター(Ocean Research Institute and the Fisheries Research Agency)の研究チームが、ニホンウナギの卵の採集に世界で初めて成功した。

 1日付の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)電子版によると、研究チームは太平洋のグアム(Guam)島に近い西マリアナ海嶺(West Mariana Ridge)周辺で、天然ウナギの卵31粒を発見し採集した。

 ウナギの産卵については、古代ギリシャの哲学者アリストテレス(Aristotle)が泥から自然発生すると考えて以来、これまで謎に包まれてきた。食用ウナギのほとんどは、孵化まもない稚魚か非常に若いウナギを海で捕獲し、養殖場で育てたものだ。

 しかし稚魚の数は1970年をピークに、乱獲や気候変動の影響で大きく減っている。水産総合研究センターでは昨年、卵からのウナギの養殖に成功したが、孵化に成功した数はあまりに少なく、まだ商業的に実現し得る技術だとは考えられていない。

 今回ウナギの産卵場の位置と産卵時期が特定されたことで、新しい繁殖技術への道が開けるとともに、ウナギの保護にもつながると専門家らは述べている。(c)AFP