グリーンランド氷床下に広大な湖、氷床融解の謎解くカギか
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ただ研究チームは、この湖から、気候変動研究において注目されているグリーンランドの氷床融解の謎を解く手掛かりが得られるかもしれないと指摘している。
■融解進む氷床を救うカギとなるか?
地球温暖化が加速する中、グリーンランドを覆う厚さ平均1500メートルの氷床は、空前のスピードで融解が進んでいる。フォースター教授によれば、2012年には過去最高の体積250立方キロの氷床が消失し、世界の海面上昇の最大の単一要因になった。グリーンランドの氷床全てが完全に融解してしまえば、海面は約7メートル上昇し、世界各地で沿岸都市が水没すると予想されている。
だが今回、年間を通して氷河下に存在する湖が発見されたことで、氷床融解によって流出する水の量に関するこれまでのコンピューターシミュレーション結果は覆される。従来の算出法では、融解した氷は川や湖、融氷流水に流れ込んで海に流出するか、クレバス(氷の割れ目)を伝って氷床内で再び凍結するとされていた。
研究チームの次の課題は、この湖の存在がグリーンランドの氷床の生き残りを助けるのか、それとも妨げるのかを判断することだ。
フォースター教授は、湖が「雪解け水を貯めることによって、気候変動の影響を減速する手助けをしているかもしれない」と述べる一方、「かえって氷河の動きを滑らかにし、進む速度を速めたり(氷山の)分離を進行させたりして、海洋への流出量を増やすという全く逆の影響を及ぼす可能性もある」と指摘している。(c)AFP/Richard INGHAM