【8月30日 AFP】グリーンランドの氷床下に、英国で最長の川の2倍の長さで米グランドキャニオン(Grand Canyon)とほぼ同じ深さの巨大な峡谷が存在するとの研究報告が29日、米科学誌サイエンス(Science)に発表された。

 英最長350キロのセヴァーン川(River Severn)の約2倍の長さを持つこの峡谷は、約400万年前に氷床が形成される以前、グリーンランド内部から沿岸に続く主要な水の通り道だったと考えられており、今日でもグリーンランド中央部から北部沿岸の氷床の端、そして外洋へと融氷水を運んでいる。

 英国南極研究所(British Antarctic Survey)のデービッド・ボーン(David Vaughan)氏は「数百万年もの間、全長750キロもの峡谷が氷の下に保存されていたというだけでも驚きの発見だが、グリーンランドの過去について理解を深めるためにもこの研究は重要な意味を持つ。この地域の氷床は海水面の上昇に関係しており、今回の発見で最新の修正を加えることができた」と語った。

 研究チームは、機上レーダーのデータを用いて峡谷を発見した。そのデータの多くは、氷を通り抜けて岩盤までの深さを測定できる電波を使用した米航空宇宙局(NASA)の観測飛行「アイスブリッジ調査(Operation IceBridge)」と呼ばれるミッションで収集された。(c)AFP