【2月13日 AFP】約100万年間、氷の下に閉ざされていた南極最大の氷底湖、ボストーク(Vostok)湖の調査で、新たな生命体が見つかるかもしれない――。厚い氷床を深さ4キロ近く掘り進み前週、同湖への到達に成功したロシアの科学チームは、地球の歴史をひもとく発見がもたらされると期待を示している。

 科学者らによると、年内に採取されるボストーク湖の水のサンプルからは、未知の生命体が発見できる可能性がある。ペテルブルク核物理学研究所(Petersburg Nuclear Physics InstitutePNPI)の分子生物学者、セルゲイ・ブラト(Sergei Bulat)氏は9日、AFPの取材に「地球上の生命とは似ても似つかない生命体が見つかるのではないか」と語った。

 仮にボストーク湖で生命が発見されれば、それは光が届かず、高圧で、酸素濃度も非常に高く、しかも水温は零下2度という極限環境に適応した「現代科学においては未知の生命体」ということになると、ブラト氏は指摘する。

 一方、逆に生命が全く存在しないことが確認されれば、「それもまた発見だ」と同氏は言う。「なぜなら地球上ではこれまで、無菌の場所というのは発見されたことがないからだ」

 また、サンクトペテルブルク(Saint Petersburg)にある海洋地質・鉱物資源研究所(Institute of Geology and Mineral Resources)のGerman Leichenkov氏は、湖の堆積物を調べることによって、過去2000万年に及ぶ地球環境と気候の変化を解明することができるだろうと述べている。(c)AFP/Anna Malpas

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