■IT企業への影響

 NSAの「プリズム」と呼ばれる極秘情報収集プログラムも暴露された。これは、アップル(Apple)やマイクロソフト(Microsoft)、グーグル(Google)やフェイスブック(Facebook)といった米IT企業大手から世界の数百万人のネット閲覧データを収集するプログラムだ。

 スノーデン容疑者の暴露により、これらの企業は米国や他国の政府に対し、監視活動の改革を求めた。企業側が出した声明によれば、「多くの国々での情報提供は、個人の権利から離れ、政府に資するもので、バランスを欠いている」とある。

 米大手シンクタンク外交問題評議会(Council on Foreign Relations)のKaren Kornbluh氏によると、より大きな脅威は、「ネットの健全性がなくなり、バルカン化(分裂)に陥ること」で、「今回の暴露は、外国政府に国内のデータの流れのコントロールを強化するための言い訳を与えてしまったかもしれない」という。

■米政府にとって最悪の状態は去った

 しかし米国の同盟国に対するスパイ行為については、ばつの悪さはあったが、長期的なダメージはないだろうと、Kornbluh氏は言う。「国際社会の反応は、驚くほど控えめだった。各国政府も情報活動で似たようなことをやっているからだ」

 ガーディアン紙によれば、スノーデン容疑者によって提供された文書5万8000件のうち、これまでに公開されたのはわずか1%のみだ。だがCSISのルイス氏は、米政府にとって最悪の状態は去ったとみている。

 同氏は「私が感じるところでは、大筋の概要は白日の下にさらされたので、彼らにしたら同じことを繰り返さないようにするのが大変だ。より衝撃的な暴露内容を持ちだしてくるのは難しいだろう。情報収集プログラムに甚大なダメージを与えるような詳細な事項を暴露していくことはできるだろうが、政治的影響という点ではほぼすでに目的が達成されている」と述べた。 (c)AFP/Mathieu RABECHAULT