■長期的な影響はまだ不明

 しかしスノーデン容疑者の暴露がもたらす長期的な影響は、まだこれからだと見る向きもある。米シンクタンク「戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)」のテクノロジーと公共政策の専門家ジェームズ・ルイス(James Lewis)氏は、情報機関の慣習において抜本的な変化が表れるとは考えていない。

「大きな変化は見られないだろうと」と語るルイス氏は、NSAの情報収集プログラムに反対しているのは、有権者の20~25%の「うるさい少数派」だと推定し、「米国民の大半はそれよりも、攻撃される小さなリスクのために、より透明性のある管理されたプログラムを求めているだろう」と語った。

 さらにルイス氏は、問題は「人々が収集と解読の違いを理解していない」ということで、「誰も7000万件ものメールをじっくり読むことなんてできない。でもテロや核拡散に関連したメールを見つけるシステムはある」と述べた。

■NSAの活動が大規模に至った経緯

 2001年に制定された米国愛国者法(Patriot Act)に基づいて作られたプログラムの1つが、電話会社から通話番号や通話時間などのデータを入手できるというものだ。こうした一般市民からのデータ収集に米国民は怒り、議会がNSAの活動を抑えようとするまでに至った。

 防衛・安全保障の専門家であるアメリカン大学(American University)のゴードン・アダムス(Gordon Adams)氏は、NSAは2001年9月11日の米同時多発テロ後、前例のない自由を与えられたと指摘する。さらにアダムス氏は、「恐れの風潮のなか、われわれは情報機関から説明責任という抑制力を事実上、取り除いてしまった」、「愛国者法が(NSAに)自由に動ける余地を大幅に与えてしまったというのが現実だ。そして彼らはその自由を余すところなく利用してきた」と述べた。