【11月20日 AFP】「ケネディ家の呪い、再び」──ボビーの愛称で親しまれたロバート・F・ケネディ(Robert F. Kennedy)の義理の娘が2012年に自殺した際、英紙インディペンデント(Independent)はこう報じた。

 これは、米国で最も注目される名家で、時に「アメリカのロイヤルファミリー」にもなぞらえられるケネディ家の面々が、ギリシャ悲劇の主人公並みの不幸に見舞われ続けている、との考えに合致するものだ。

「ケネディ家の人間は、目的や野望を達成しかけると、必ずと言っていいほど悲劇的な犠牲を払うよう、運命付けられているようだ」。エドワード・クライン(Edward Klein)氏は自著「The Kennedy Curse: Why Tragedy Has Haunted America's First Family for 150 Years(ケネディ家の呪い:なぜ米国の名家に150年間、悲劇が襲い続けるのか)」の中でこう述べている。

 今から50年前の1963年にジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)米大統領が暗殺されてから、一族は数々の不幸に見舞われた。68年には弟のボビーも暗殺され、84年にはボビーの三男デービッド(David Kennedy)さんが薬物の過剰摂取で死亡、四男マイケル(Michael Kennedy)さんも97年に死亡した。

 だが、ケネディ家が実際に呪われているという説が最も強まったのは、ケネディ大統領の息子、ジョン・F・ケネディ・ジュニア(John F. Kennedy Jr.)が99年7月16日、操縦していた小型飛行機の墜落で死亡した時だ。

 ただ、一家の「呪い」については、これより30年前、ケネディ元大統領の弟で当時マサチューセッツ(Massachusetts)州選出上院議員だったエドワード・ケネディ(Ted Kennedy)氏がすでに口にしていた。

 エドワード氏はテレビ放送の中で、チャパキディック(Chappaquiddick)島の橋の上を運転していた車が川に転落し、同乗していたマリー・ジョー・コペクニ(Mary Jo Kopechne)さんが死亡した事故を痛々しく語り、「ケネディ家全員に何らかの恐ろしい呪いが実際にかけられているのか」と物思いにふけった。この発言があったのは1969年7月25日で、兄のボビーが暗殺されてから1年余りがたっていた。

 陰謀説を信じる一部の人々は、ケネディ大統領の父、ジョゼフ・P・ケネディ(Joseph P. Kennedy)を占星学的に分析することでケネディ家の不幸を説明する。彼と口論になったラビ(ユダヤ教指導者)が呪いをかけたと考える人々もいる。

 だが、書籍「The Kennedys: America's Emerald Kings(ケネディ家:アメリカのエメラルド王たち)」を著したジャーナリスト、トーマス・マイアー(Thomas Maier)氏にとって、これらの議論はばかげた内容だ。

「『呪い』とは、ケネディ家の特定の人々が取った無謀な行動、もしくは、まるである神秘的な神がケネディ家の行いに対して報いを受けさせようとしているかのように呪いなどといった言葉を使う疑似世俗的な信仰心のいずれかを表現する、不正確かつ短絡的な言葉だ。荒唐無稽であり、一家の宗教的背景に対する大きな侮辱だ」と、マイアー氏はAFPに語った。

 米バージニア大学(University of Virginia)のラリー・サバト(Larry Sabato)氏はAFPに「上院議員3人に大統領1人、大統領候補2人を輩出する一族はそうめったにない」と指摘。「人々が呪い説を信じるのはこの一家に目を向け過ぎているから。私たちはケネディ家の全員を知っていて、その中にある点と点をつなげているのです」と話した。(c)AFP/Guillaume DECAMME