【10月8日 AFP】イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相が、テレビインタビューの中で、イランではジーンズをはくことや西洋の音楽を楽しむことが禁じられているといった趣旨の発言をし、ソーシャルメディア上ではイランの人々からの激しい反論と嘲笑の声が相次いでいる。

 ネタニヤフ首相は、BBC(英国放送協会)のペルシャ語放送で5日に放映されたテレビインタビューの中で「もしイランの人々に自由があるなら、彼らはジーンズを着用し、欧米の音楽を聴くだろう」と述べた。

 イランでは今年6月、穏健派のハサン・ロウハニ(Hassan Rowhani)氏が新大統領に選出されたが、ネタニヤフ首相はイランの核開発に対する国際社会からの制裁圧力を継続させるため、ロウハニ師が「ヒツジの皮をかぶったオオカミ」であると主張してきた。

 しかしこのインタビューでの発言をめぐっては、イランの人々から辛辣なコメントの嵐がソーシャルメディア上で巻き起こっている。フェイスブック(Facebook)に開設された「ネタニヤフに私たちのジーンズを見せつけてやろう。よく見ておけ、ビビ」(ビビはベンヤミンの愛称)と題されたページには、ジーンズをはいたイランの若者たちの写真が多数投稿されている。

 寄せられたコメントの中には、同国の核兵器開発疑惑に触れた投稿もあった。「彼は私たちの爆弾を見たと思っているようだが、どうやら私たちのジーンズは見ていないようだ」

 マイクロブログのツイッター(Twitter)にも、ジーンズを着用し、欧米の音楽を楽しむイラン人の写真が数多く投稿された。イランでは、ラップなど欧米の音楽の一部を正規の店で買うことはできないが、若者の多くは外国アーティストの楽曲をインターネットでダウンロードして聴いている。

 あるユーザーは、ジーンズをはき、オーストラリアのポップミュージシャン、ミッシー・ヒギンズ(Missy Higgins)の音楽を聴いている自らの写真を投稿し、「ほら、これが私のジーンズ、そしてこれが欧米の音楽だよ、ばか者!」とつぶやいた。

 イランのロウハニ大統領は、同国でのネット規制の緩和についても言及しており、人々がある「道徳観の枠組み」の中でソーシャルメディアにアクセスできるようにしたいとしている。

 ロウハニ大統領は最近、外交を通じて同国の核開発をめぐる国際社会の懸念を和らげようとしている。しかしネタニヤフ首相は、ロウハニ大統領によるこうした動きを懐疑的に捉えており、依然としてイランがイラエルにとっての脅威であると主張している。(c)AFP