【7月18日 AFP】2016年米大統領選挙に、ヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)前米国務長官が立つとすれば、これほど手ごわい候補はいないだろう。当の本人が立候補の意向を表明もしていないうちから、クリントン前長官が出馬する下地固めを行っているグループには、すでに100万ドル相当の献金申し出が届いているという。

 クリントン氏の大統領選出馬を後押しする政治支援団体「レディー・フォー・ヒラリー(Ready For Hillary)」のAdam Parkhomenko事務局長は、本部事務所でAFPの取材に対し「100万ドル単位の小切手をお断りしたところ」だと語った。

 最近のクリントン人気はとどまるところを知らず、法律上は無制限に資金調達を行える同団体が、個人献金に2万5000ドル(約250万円)の上限を課したほどだ。大統領選への出馬を表明していない中で最も有名な人物は、すでに金銭よりもはるかに価値のあるもの、つまり「草の根運動」によって十分恩恵を得ているという理由からだ。

 バージニア(Virginia)州アレクサンドリア(Alexandria)のショッピング地区にあるペンキを塗ったばかりの事務所では、ボランティアたちが、自動車のバンパーに貼るためのステッカーを支持者宛ての封筒の中にせっせと入れていた。段ボール箱には、選挙前の活動用の帽子やTシャツが積み重ねられていた。別のスタッフは、4月に立ち上げたばかりの派手なウェブサイトの画面をスクロールしていた。

 彼らの使命の中心にあるのは、2016年の大統領選へ向かうサイクルの中で、現在、盛んに取り沙汰されている問題だ。08年の大統領選の民主党候補指名争いで、ライバルだったバラク・オバマ(Barack Obama)現大統領に苦い敗戦を喫した後、国務長官を務めたクリントン氏が、第2期オバマ政権の後に大統領を目指すのかどうかだ。

「レディー・フォー・ヒラリー」の広報責任者は「ヒラリーを出馬させたい。それが今、前にある目標だ」と語る。

 民主党のクレア・マカスキル(Claire McCaskill)上院議員は、クリントン氏を大統領に選出することは「必須」だと述べ、6月に議員の中で初めて「レディー・フォー・ヒラリー」に賛同した。

「レディー・フォー・ヒラリー」はいわゆる「スーパーPAC(特別政治活動委員会)」で、候補者になる可能性のある人物やその側近と接触することは法律で禁じられているが、Parkhomenko氏によると、すでに5000人を超える人から献金があった。多くは最少額の20.16ドル(約2000円)の献金だ。

「彼ら(レディー・フォー・ヒラリー)は自分たちの情熱によって行動している、独立した組織だ」と、クリントン氏の広報担当ニック・メリル(Nick Merrill)氏はいう。「(クリントン氏に)出馬を決心させようという彼らのエネルギーや熱意には素晴らしいものがある。しかし、最終的に個人的な決断をするのは、本人だけだ」

 クリントン氏は先月、マイクロブログのツイッター(Twitter)にアカウントを開設した際、経歴欄に自分の将来について「TBD(未定)」と書き込んだが、多くの観測筋は、その将来が明らかにされるのは時間の問題だとみている。(c)AFP/Michael MATHES