【11月27日 AFP】2004年に死去したパレスチナ解放機構(PLO)の故ヤセル・アラファト(Yasser Arafat)前議長の遺体が27日、死因調査のために掘り起こされ、専門家らがサンプルを採取した。パレスチナ自治区の情報筋がAFPに語った。

 匿名を条件に取材に応じた情報筋によると、掘り起こし作業は現地時間27日午前5時(日本時間同日正午)ごろ、フランスとスイスとロシアの専門家の立ち会いのもと行われ、毒殺された可能性について調べるために遺体からサンプルが採取された。サンプルを採取した後、遺体は再び埋葬されたという。

 作業についての公式発表は出されていない。Muqataaの霊廟(れいびょう)にあるアラファト前議長の墓地は、この数週間ブルーシートで目隠しされており、報道陣も付近一帯から排除されていた。

 27日朝にMuqataaに到着したエルサレム(Jerusalem)の法学者、モハメド・フセイン(Mohamed Hussein)氏は、AFPの取材に対し、墓地の掘り起こしに立ち会うと語っていた。

■放射性ポロニウムを検査

 アラファト前議長はフランスの病院で死亡しているが、その死に関しては毒殺の可能性が浮上している。今回採取したサンプルから毒性の放射性物質ポロニウムが検出されるかを調べる。

 毒殺疑惑については、中東衛星テレビのアルジャジーラ(Al-Jazeera)が、故アラファト氏の妻のスーハ(Suha Arafat)夫人から受け取ったアラファト前議長の遺品をスイスの研究所に依頼して検査したところ、毒性のある放射性ポロニウムが検出されたことから浮上した。

 フランス当局は8月、スーハ夫人の申し立てを受けて正式に殺人事件として捜査を開始。掘り起こし作業に立ち会うため、25日に予審判事がラマラ(Ramallah)入りしている。(c)AFP