【4月12日 AFP】9歳の少年が、黒板に記されたアルファベットを物差しで一文字ずつ指しながら、「A、B、I、U・・・・」と読み上げていく。

 ここは、コンゴ共和国のインプフォンド(Impfondo)にある、少数民族ピグミー(Pygmy)のための特別学校。教師も全員ピグミーの出身だ。

 この学校は、ピグミーの児童のための「ORA」と呼ばれる教育方針に基づいている。ORAでは、ピグミーの子どもたちは公立学校に編入する前に、差別も偏見もない環境で数年間学ぶことができる。いわば公立学校で学ぶための予備校だ。

 ORAは、同じくピグミーが多く住むカメルーン、中央アフリカ共和国、コンゴ民主共和国で開発された。ピグミーとはアフリカ中部に住むさまざまな先住民族の総称で、背が低いのが特徴だと認識されているが、蔑称だと考える人もいる。このピグミーの人口はアフリカ中部全体で約300万人と言われ、コンゴ共和国では全人口の約2%を占めているが、人口の大半を占めるバンツー(Bantu)系の住民から差別を受けている。

 特別学校で教えられているのは、読み書き、算数、保健など。「ピグミーが劣等感から解放されるよう(コンゴで広く話されている)フランス語も教えたい」と、ある教師は語った。

 こうした学校は増えつつあり、ORAは成功を収めようとしている。ただ別の教師は、「漁や収穫の時期になるとほとんどの児童が(親を手伝うために)欠席してしまう」と悩みも打ち明けた。
 
 ユニセフ(UNICEF)の最新統計によると、12~15歳の子どものうち学校教育を受けていない比率はピグミーでは約65%と、コンゴ全体の39%を大きく上回っている。(c)AFP/Laudes Martial Mbon