【8月14日 AFP】香港(Hong Kong)のクリストファー・サン(Christopher Sun)監督が、巨大なペニス型の噴水の前で、フィギュアの人形を使って身振りを伝える――この方法が、世界初の3Dポルノ映画に出演する多国籍キャストに意図を伝える最も簡単な方法なのだと、監督は語る。

「スタッフにやって見せろとは言えないし、フィギュアは脱がされても文句を言わないしね」と、サン監督は、香港にある隔離された撮影スタジオでAFPに語った。

■史上初を目指して競争

 製作費320万ドル(約2億8000万円)をかけた3Dポルノ映画『3-D Sex and Zen: Extreme Ecstasy』は来年5月に公開予定。サン氏は時間との闘いの真っ最中だ。

 というのも、イタリアのポルノ映画『カリギュラ』(1979)を監督したティント・ブラス(Tinto Brass)監督が、3D映画で『カリギュラ』をリメイクすることを発表しており、どっちが史上初の3Dポルノ映画になるかの競争になっている。

 さらに、米成人向け男性誌ハスラー(Hustler)も、大ヒット3D映画『アバター(Avatar)』のパロディーの3Dポルノ映画を制作中だ。

『3-D Sex and Zen』のプロデューサー、スティーブン・シュウ(Stephen Shiu)氏は、自分たちの映画こそが史上初の3Dポルノ映画として映画史の1ページに刻まれることに、今もなお確信を持っている。「わたしたちが負けるとは思えないね」とシュウ氏は述べる。

■3Dポルノ映画の困難

「3D映画こそが映画産業の未来だ。何かを3Dで眺めたいというのは人間の性だよ」とシュウ氏は語る。

 とはいえ、乗り越えなければならない障壁がまだ数多く残っている。3D映画はただでさえ技術的に複雑なのに、乱交やアクロバティックなセックスをする場面を撮影しなければならないからなおさらやっかいなのだという。

 3D映画の撮影は、一般の映画よりも明るい照明が必要になり、そのためカメラが急に動き回ることも困難だ。

 出演する日本人女優2人のうちの1人、原紗央莉(Saori Hara)さん(22)は、映画の技術面での複雑さにより、これまでの映画よりも大変だと語る。

「視聴者の気分が落ちないように、もっとがんばらないといけない」と、原さんは休憩中にAFPに語った。「世界中の人にこの映画を観て欲しい」

■元気な女優陣、緊張する男優陣

 さらに、プロデューサーのシュウ氏は、恥ずかしがり屋の男優たちが映画制作の足を引っ張っていると述べる。

「日本人の女の子たちは非常に尊敬している。1日18時間働くことができて、だからとても疲れるようだけど、この2人はとても良い」「男優たちはシャイでとっても怖がりだ。でも女の子たちが助けてくれている」(シュウ氏)

 主演男優の葉山豪さん(35)は、初のポルノ映画出演。手ごわい撮影だということは認めつつも、100人の女性を満足させるシーンについては全く不満が無いと述べる。女性100人は、保守的な香港では人数を集めることができず、タイからも大勢を呼びよせたのだという。

「世界の王のような気分だったよ」と葉山さんは語った。

■中国の古典を基にしたストーリー

 この映画の主要な舞台は洞窟。作り物の電飾の岩や、エロティックな壁画、毛皮のじゅうたんに囲まれ、明時代のアンティークを模した家具も並ぶ。

 中国の古典官能小説「肉蒲團(The Carnal Prayer Mat)」を基にしたストーリーで、貴族たちのエロティックな世界を体験した男性が、元の妻こそが最愛の人だと気づくという内容。

 シュウ氏は、中国本土では上映禁止になるのは確実だが、日本や韓国を含むアジア史上や欧州、米国などで大きな注目を集めていると語る。

 海賊版を減らすため、まずは劇場公開され、その後家庭用に2D版が提供される予定。

■女性にやさしい感動ロマンス映画?

 シュウ氏は、この映画が女性にもやさしいと主張する。なぜならば、ストーリーの欠けたセックスシーンよりも、愛とロマンスを取り上げた映画だからだという。

 シュウ氏は1991年にポルノ映画『Sex and Zen』で、香港のポルノ映画史上で最高の興行収益を記録した。しかし、シュウ氏は、今回の映画は『Sex and Zen』をも上回るとみている。

「わたしはセックスシーンが無くても面白い商業映画を作りたかった。(この映画は)視覚的にも非常に見事なものだ。だからこそ3Dでやる価値があった。とても楽しい映画だし、最後には心が動かされる。これまでにわたしが書いた脚本でも1番の出来だ」

(c)AFP/Peter Brieger

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