【4月14日 AFP】オーストラリア沖合にある世界最大のサンゴ礁、グレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)の近くで中国船籍の石炭運搬船が座礁した事故で、豪政府は14日、同船から流出した重油が海鳥類やウミガメの生息地に漂着したことを明らかにした。生態系への影響が危ぐされる。

 重油の除去作業員や環境専門家らが、ノースウエスト島(North West Island)の上空からヘリコプターで状況を視察し、海鳥とウミガメの繁殖地でもある浜辺が1キロにわたって重油で汚染されているのを確認した。

 中国船籍の「深能1号(Shen Neng 1)」は今月3日、規定航路を大きく外れたグレートバリアリーフ海洋公園(Great Barrier Reef Marine Park)内で座礁し、重油2トンが流出した。豪政府は事故に対する怒りを隠さず、責任者を処罰する方針を明らかにしている。

 先に、クイーンズランド州政府のレイチェル・ノーラン(Rachel Nolan)運輸相は、流出した重油は「少量」と発表していたが、豪政府のピーター・ギャレット(Peter Garrett)環境相は、重油がその他の島々にも及ぶ可能性があると懸念を示している。

「深能1号」の12日に離礁作業が行われ、事故現場からえい航された。

 さらに豪当局は、海水温上昇や汚染ですでに危機に瀕(ひん)しているグレートバリアリーフを、オーストラリアの天然資源をアジア各国に運搬する船舶が航路を短縮するため通過しているとの報告についても調査を進めている。(c)AFP/Talek Harris