【8月23日 AFP】日本を含め、世界中の子どもたちに人気の白いうさぎのキャラクター「ミッフィー(Miffy)」を描くオランダ人イラストレーター、ディック・ブルーナ(Dick Bruna)が22日、80歳の誕生日を迎えた。

 ブルーナの出身地、ユトレヒト(Utrecht)にある美術館では1か月間の記念イベントが開催される。ブルーナの本は1955年の創作から、世界で8500万部を売り上げ、40か国語に翻訳されている。

■ブルーナが描く絵本

 ブルーナが描くうさぎは、オランダ語でうさぎを意味する「konijn」を子どもらしく発音した言葉から「ナインチェ(Nijntje)」と名付けられた。輪郭がしっかり描かれるブルーナの作品は奥行きのない背景、赤・青・黄色のようにはっきりした色で描かれる。絵本の大きさは子どもの手に収まるよう小さく、見開きの片面には明るく楽しげな絵、もう一方にはストーリーを伝える4行の文章が並ぶ。

■ブルーナの成功と人気

 一見シンプルに見える描写が大きな成功を呼び、特に絵本が飛ぶように売れた日本では続編が求められた。ユトレヒトにある同美術館では日本人観光客の根強い人気が見られる。美術館を訪れていたユトレヒト大学日本人学生のタケイ・ヨウさんは「日本の友達が遊びに来た時はいつもここに連れて来ます。オランダでは子どもたちが中心だけど、日本では大人にも人気があります。日本人旅行者はユトレヒトに美術館があることを知っていて、アムステルダムを訪れる時はここを目的として来るんです」とAFPの取材に応えた。

■ブルーナと美術館についてインタビュー

 美術館関係者のCatrien Schreuderさんは語る。

 「ブルーナは1927年8月23日にユトレヒトに生まれ、『オランダデザインの象徴』として一世を風靡しました。80歳を迎えた今でも同市に住み、年間2冊の本を描いています。家からスタジオまでの歴史地区を自転車で通っていますよ。

美術館は子どもたちを対象に、ミッフィーや他のキャラクターの絵本をはじめ、等身大のブルーナの人形や遊べるコンピューターゲームを用意しています。そして大人の来場者には、ブルーナの作品に影響を与えた1940年代後半のパリ周遊を収めたビデオを含め、ブルーナの生い立ちを紹介しています。ブルーナは特にフランス人画家のアンリ マティス (Henri Matisse).やフェルナン レジェ(Fernand Leger)からの影響を受けています。

パリから帰国後、若いブルーナは自らの才能を家業の出版社に費やしました。イラストレターとしての仕事は、現在では希少価値となっている作家ジョルジュ・シムノン(Georges Simenon)の推理小説『メグレ警部補(Inspector Maigret)』シリーズの表紙を手掛けたのがきっかけです。表紙はタバコと帽子のシンプルなシルエットで飾られ、ミステリーの内容を表さず、そして斬新に表したカバーになっています」

(c)AFP/Alix Rijckaert