【ボコール/カンボジア 4日 AFP】廃虚と化したボコール(Bokor)パレスホテルのダンスホールに一歩足を踏み入れれば、植民地時代の避暑地の華やかな夜で交わされた会話やシャンパングラスの音が用意に想像できる。カンボジアの栄光および破滅の象徴は、長い間見捨てられ不気味な廃虚と化し、いまでは好奇心旺盛な観光客たちの探検スポットとなっている。

 ある外国人グループは、銃弾を見つけてはそこで行われた悲惨な出来事を想像し、興奮気味に壁の弾痕について語った。ドイツ人の友人とともにここを訪れた英国人のRob Chapmanさんも、「誰かがここに立たされて撃たれたようだ」と話していた。実際、ホテル裏手入口のレンガ造りの窓は弾丸の跡で蜂の巣状態だ。だがこれが残酷な処刑の証拠か、あるいは単に相次ぐ略奪行為の痕跡かは誰にもわからない。

 真実は秘密のベールに包まれたまま永遠に失われ、それだけに観光客らの心をひきつけている。ここを訪れる観光客たちは、1000メートルに及ぶエレファント山脈(Elephant Mountains)の岩群のあいだを3、4時間かけて登らなくてはならい。

 だが霧に包まれたこの廃虚では、実際に凄惨な過去があった。悲嘆にくれたギャンブラー達は近くの崖から身を投げ、また1980年代には、この小さな街はクメール・ルージュ(Khmer Rouge)とベトナム軍によって二分され、卑劣な戦闘が繰り広げられた。

 プノンペン(Phnom Penh)から北へ数百キロにあるボコールの避暑地は1922年に開かれ、すぐにフランス人の役人などが避暑地として移り住むようになった。1960年代にはパーティー好きたちの天国となり、美食家として知られるノロドム・シアヌーク(Norodom Sihanouk)王子も山から数キロに豪邸を構え、ホテルではカンボジアの選良たちの宴が行われた。

 写真は2月11日、ボコール山にあるかつてカジノがあった建物を訪れた観光客。(c)AFP/TANG CHHIN SOTHY