【バルセロナ/スペイン 16日 AFP】65歳以上の高齢者を対象にデザインされた新しい携帯電話が登場した。機械の操作に不安を抱く高齢者も、もはや携帯を恐れることはない。

 拡大する高齢者市場をターゲットにシンプルなデザインの携帯電話機を発表したのは、オーストリアのリンツ(Linz)に本社を構える「エンポリア・テレコム(Emporia Telecom)」。バルセロナ(Barcelona)で12-15日に開催されたモバイルテクノロジーの見本市「3GSM World Congress」に出展した同社は、各社が開発を競い合う最新技術には見向きもしない。

■使いやすさ・見やすさで高い潜在需要に対応

 エンポリア・テレコムの輸出部門担当、Reinhard Handlgruber氏は「高齢者にとって現状のような複雑な携帯電話を使いこなすことは困難。必要なのは大きな画面とボタン、そして使いやすいメニューだ」と語る。

 高齢者施設を中心に市場調査を実施したエンポリアは、65歳以上の高齢者の間で携帯電話への潜在需要が高いという結果を得た。

 同社が開発した携帯電話には、カメラやインターネット接続、インスタント・メッセージング機能などは付いていない。代わりに緊急時に親族や友人へワンプッシュで電話をかけられるボタンや補聴器機能が付いており、電源にも通常の単4電池を使用可能だ。

 Handlgruber氏によると、欧州およびロシアには65歳以上の高齢者が約1億1000万人いるが、そのうち携帯電話の利用者はわずか17%だという。

■大手には出遅れ観

 大手の携帯電話メーカーでは、高齢者向けの携帯電話機を製造しているところはない。だが一部では、新製品や人気の高い機種が必ずしも全員に受け入れられているわけではないとの認識もあるようだ。

 英ボーダフォン(Vodafone)は先日、使い安さとわかりやすい料金プランをうたった「ボーダフォン・シンプリー(Vodafone Simply)」の提供に向け、フランスのSagemとの提携を決めた。一方、米モトローラ(Motorola)も低価格でシンプルな「Motofone」を世界に向けて発表した。

 モトローラの欧州担当部長、Andrew Morrow氏は、「欧州で携帯電話に最も強い関心を示しているのは、携帯電話を持たない50代以上の中高齢者」と語る。彼らが携帯電話を持たない理由は、操作性が複雑で画面が見にくいといった固定概念があるからだという。

 フィンランドの携帯電話設計コンサルタント会社IdemのKim Heikkinen氏は、大手メーカーでは高齢者向けの携帯電話の開発が順調に進んでいないと指摘する。「大手ブランドの問題は、製品が“いかにも高齢者向け”に見え、敬遠されがちな点。市場原理の難しさがあるのは確かだが、まだ誰も成功していない、挑戦しがいのある分野だ」

 写真は14日、3GSM World Congressが開催された会場の様子。(c)AFP/LLUIS GENE