【12月19日 AFP】不朽の恋愛映画『カサブランカ(Casablanca)』でハンフリー・ボガート(Humphrey Bogart)が着用したフェドーラや、映画「インディ・ジョーンズ(Indiana Jones)」シリーズでハリソン・フォード(Harrison Ford)が愛用しているハットなどを手掛けるイタリアの老舗帽子メーカー「ボルサリーノ(Borsalino)」は18日、破産手続きの申請を行ったと労働組合が明かした。

 イタリア北部のアレッサンドリア(Alessandria)の裁判所は同社の救済案を棄却し破産手続きに入ったと、イタリア労働連合(UIL)のエリオ・ブリコラ(Elio Bricola)はAFPに話し、当面は「事業を継続させるだろう」が、「従業員は怒っており、将来を不安視している」と語った。

「ボルサリーノ」のハットを愛したマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)に、同ブランドのファンとしても知られる米歌手のファレル・ウィリアムス(Pharrell Williams)。デヴィッド・ボウイ(David Bowie)は最後となった撮影で黒のフェドーラを着用した。

 1970年の仏ギャング映画『ボルサリーノ』の題名は、人気俳優のアラン・ドロン(Alain Delon)とジャン・ポール・ベルモンド(Jean-Paul Belmondo)が着用した独特なフェドーラスタイルハットに由来する。

 しかし映画での宣伝や音楽業界での支持も160年の歴史をもつ会社を無謀な経営から守り切れなかった。

 2015年にはイタリアの投資会社「ヒエレス エクイタ(HAERES EQUITA)」が、3500万ドル(約39億4200万円)もの負債を抱え経営難で苦しんでいた「ボルサリーノ」を救うために経営権を握った。

 元オーナーであるマルコ・マレンコ(Marco Marenco)は、2015年に詐欺と脱税によりスイスで逮捕されている。

 裁判官によって、「ボルサリーノ」の債権者に返金するという「ヒエレス エクイタ」の案が承認され、1920年には200万個ものハットを製造していた歴史を持つ本ブランドは再出発へと向かった。しかしその後、ブランドとその120人の従業員を救う案は裁判所によって棄却され、数週間前に提示された同様の案も同じく棄却された。(c)AFP