【5月18日 AFP】4年連続で記録的な干ばつに見舞われている米カリフォルニア(California)州で、給水制限のため黄色く枯れてしまった自宅の庭の芝生をスプレーで緑色に「化粧直し」する住民が増えている。

 息詰まるほどの暑さと乾燥が続く中、カリフォルニア州では4月に史上初めて州全域に給水制限が発令され、スプリンクラーが自由に使えなくなった。そこで注目されているのが、干し草のようになってしまった芝を緑色に塗ってカリフォルニアっ子自慢の庭の美観を保つ「芝生スプレー」だ。

 天然色素を使用した無害な塗料を枯れた芝に塗布している地元の会社「ローンリフト(Lawnlift)」の売り上げは、「干ばつ景気」により昨年3月からの1年間で倍増した。一度塗布すれば、12週間は色落ちしないという。

 サンディエゴ(San Diego)北方のエスコンディード(Escondido)に住むポーラ・ピアソンさんは、「芝生スプレー」の話を初めて聞いた時には笑ったが、スプリンクラーを止めたとたんにすっかり枯れてしまった庭を見て自然の摂理にあらがうことを決めたと話す。「もし(庭の配色に)黄色が欲しいと思ったら、いっそ岩を置きますよ。芝生は、緑でなくてはいけないんです」

 こざっぱりした住宅の前庭に青々とした芝生が広がる光景は、伝統的な米国文化の1つだ。全米の都市郊外ならどこでも見られる。この前庭の手入れが行き届いていれば「きちんとした」住人だと思われ、家を売る際の価格にも影響する。

 しかし、カリフォルニアでは干ばつのせいで、住宅所有者の多くがこの伝統の芝生をあきらめて、サボテンやアガベなど水まきが不要な砂漠の植物に植え替えている。ロサンゼルス(Los Angeles)など節水できる庭への改修を奨励する助成金を出している自治体もある。サンフランシスコ(San Francisco)では、乾燥に強い地元の植物を使った庭の出来を競う「最も醜い庭(Ugliest Yard)」コンテストが開催されている。(c)AFP/SARA PUIG