【12月6日 AFP】米国で、悲惨な交通事故の様子をマイクロブログのツイッター(Twitter)で実況中継していた女性が、途中で事故の犠牲者が自分の夫だと気付くという出来事があった。警察が5日、明らかにした。

 米地方紙シアトル・タイムズ(Seattle Times)によると、カラン・ジョンソン(Caran Johnson)さん(47)は警察無線を傍受してはツイッターのアカウント「@ScanCouver」に投稿しており、4日午後も発生したばかりの交通事故の状況を伝え始めた。

「ひどい事故があったみたい」とまずツイートしたジョンソンさんは、やがて状況が分かってくると「何てこと、これは本当に大変な事故だわ!」と書き込み、そのまま米北西部ワシントン(Washington)州を走る州間高速道路205号線で起きた事故について投稿を続けた。だが、そのうちに夫と連絡が取れないことで不安に駆られ始めた。

「パニックにならないようがんばっているけれど、夫は今日、仕事を早く切り上げていて、いつも205号線を使って帰宅するの。さっきから電話に出ないのよ」

 シアトル・タイムズ紙が掲載したツイートの内容や、隣接するオレゴン(Oregon)州のウェブサイト「kgw.com」に掲載されたツイート画像からは、さらに取り乱していくジョンソンさんの様子が分かる。

「まだ帰ってこない」

「職場に電話したら、夫は退社した時、ふらふらしていたって。#パニック」

「どうしよう?夫は気を失いそうになって車を路肩に寄せたかもしれない。あるいは発作を起こしたのかも。夫はてんかん持ちなの」

「たった今911(緊急通報用電話番号)に電話して、夫の運転免許証番号を伝えたら、転送された後に、折り返しますと言われた。どういうこと?」

 そしてとうとう、ジョンソンさんは言葉少なくこうつぶやいた。「夫だった。死んだの」

 ワシントン州警察当局によると、夫のクレイグ(Craig Johnson)さん(47)の車は、同州南部にあるオレゴン州との州境の都市バンクーバー(Vancouver)近郊で中央分離帯を超えて反対車線に飛び出し、対向してきた小型トラックと衝突。クレイグさんは死亡し、トラックを運転していた女性(54)は大腿骨骨折などの重傷を負った。

 警官が訃報を伝えるためジョンソンさんの自宅を訪れたとき、ジョンソンさんは既に何が起きたか分かっているようだったという。ジョンソンさんは警官が玄関をノックする前に家の外に出て待っていて、駐車場で警官らを迎えた。

 ジョンソンさんは後にツイッターで、励ましの言葉をかけてくれた人々に感謝の言葉をつぶやくと、午後10時半に最後のメッセージを投稿した。

「息子たちはようやく寝付いた。まるでセメントの塊が私の上に落ちてきたみたいな気分」 (c)AFP