【12月4日 AFP】(一部更新)2本脚で歩いたり、おしゃべりをしたりするチンパンジーたちは、テレビのバラエティー番組のスターかもしれないが、米ニューヨーク(New York)州の3つの裁判所では現在、そんなチンパンジーたちを基本的権利を持った「法的な個人」として認めるよう求める申し立てが行われている。

 非営利団体(NPO)「非人間の権利プロジェクト(Nonhuman Rights Project)」が起こしたこれらの申し立ては、チンパンジーが余生を自由に暮らせるよう、保護区での解放を求める内容となっている。

 同団体は2日、フルトン(Fulton)郡グラバーズビル(Gloversville)にある中古トレーラー販売所でおりに入れられているチンパンジーの「トミー(Tommy)」の代理として、同郡の裁判所に申し立てを行った。3日には、ナイアガラフォールズ(Niagara Falls)にある民家で飼われている耳の聞こえない26歳のチンパンジー「キコ(Kiko)」についても同様の申し立てを行っている。

 さらに5日には、ロングアイランド(Long Island)で歩行に関する実験に使われている、研究所所有の「ヘラクレス(Hercules)」と「レオ(Leo)」についても、同様の申し立てを行う予定だ。

 同団体は声明で、「身体の自由の権利をこれらチンパンジーたちに与えることと、保護区への移送命令を求めるもの」と申し立てについて説明。これは、ニューヨーク州でかつて奴隷たちが自らの立場を変え、自由を獲得するために使った人身保護令状の原則に基づいているという。

 同団体は声明で「われわれの法的な申し立てと書類、そして世界で最も権威ある科学者たちからの宣誓供述書には、この複雑な認知能力を持つ自律した動物が、自由の身になる基本的な法律上の権利を持っている理由が示されている」と述べている。

 裁判所は申し立てを退けることも可能だが、その場合、同団体は上訴することができる。(c)AFP