【12月23日 AFP】カンボジアはタイが22日、自国領内に対して空爆を行ったと発表した。これは、国境付近での衝突の停止を目指し、両国が今週協議を行うことで合意したと、タイ政府が発表した直後のことだった。

当局によると、今月に入って戦闘が再燃し、これまでにタイで少なくとも23人、カンボジアで20人が死亡した他、国境の両側で90万人以上が避難を余儀なくされている。

タイのシハサック・プアンゲッゲオ外相は、マレーシアの首都クアラルンプールで開催されたカンボジアも加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)の外相会合の後、両国間の協議開催を発表した。

シハサック氏は記者団に対し、協議は既存の2国間国境委員会の枠組みの下、24日にタイ東部チャンタブリで行われると述べた。

しかし、マレーシアで地域危機に関する協議が行われてからわずか数時間後、カンボジア国防省は、タイ軍が戦闘機を投入し、シェムリアップ、プレアビヒア両州の地域を爆撃したと発表した。

シェムリアップ州には、ユネスコの世界遺産に登録されているアンコール遺跡群がある。最大の観光名所であるアンコール・ワットは、カンボジア当局が爆撃を受けたとしているスラエヌイ村から、車で1時間あまりの距離に位置している。

一方、タイ陸軍は、カンボジアが22日に数十発のロケット弾をタイ国内に発射し、これに対しタイ空軍がカンボジア側の軍事目標2か所に空爆で応じたと発表した。

国境を越えた攻撃の応酬が続く中でも、カンボジア内務省は、停戦の実施に向けて「タイ側が誠意を示すと楽観視している」と述べた。

しかし、シハサック氏は、今後予定されている協議が直ちに停戦につながるとは限らないと慎重な姿勢を示し、「我々の立場は、停戦は声明によって成立するものではなく、行動によって示されるべきものだということだ」と述べた。

タイ外務省は、両国の軍が「停戦の実施方法、関連する措置、検証について詳細に協議する」と述べた。(c)AFP/Martin Abbugao