米、中国企業のタイヤ輸入差し止め セルビア工場で強制労働疑惑
このニュースをシェア
【12月20日 AFP】米国税関・国境警備局(CBP)は18日、中国企業が運営するセルビアの工場で製造された自動車用タイヤについて、強制労働の疑いがあるとして「輸入差し止め命令」を出した。
CBPは、強制労働の存在を示す「調査と情報の精査」を受け、セルビア北部ズレニャニンの工場で生産された、リンロン社製タイヤの全米港湾での即時留置を命じた。
CBPによれば、強制労働の評価は「労働者の証言や文書、写真、NGOによる報告、メディア報道、学術研究」に基づいているという。
リンロン社は2024年9月、同社としては欧州初となるセルビア工場で量産を開始した。
しかし工場は建設中の21年、従業員を集めるため詐欺的行為があったとの報告を受けて数百人のベトナム人労働者がストライキを行い、注目を集めた。さらに24年2月にはセルビアの市民団体が、14人のインド人労働者が強制労働状態に置かれていたと報告した。
セルビア政府はリンロンに対する不正行為の疑いを退けると、同社も責任を否定し、労働者は下請け企業が雇用したものだと主張した。
米国務省は25年版「人身取引報告書」で、セルビア政府による「この工場における強制労働疑惑の捜査にはほとんど進展がなかった」と指摘している。
輸入差し止め命令の中でCBPは、身分証の没収、威圧、隔離、過度の残業、賃金の未払い、借入金による束縛、劣悪な環境、欺瞞(ぎまん)、弱者からの搾取などの実態を示す証拠があると述べた。
CBPによれば、輸入業者は留置された貨物を再輸出または破棄するか、強制労働によって製造されていないことを証明することができるという。(c)AFP